本の概要
霜降り明星のせいやの著書。
本人の高校時代の実体験に基づく、半自伝小説。
※以下、ネタバレを含みます。
本を選んだ理由
自分が、霜降り明星のYoutubeチャンネルを見るなど、彼のファンなのだが、
過去の動画の中でも、いじめの経験への言及があったので、どんな内容なのか気になり、購入した。
印象に残った点①:いじめの解決方法
実際、いじめというのは、大人が介入してもきれいに解決しない。当事者同士でなんとかしなければならないのだ。イシカワは今一度、心のなかで先生とオカンに、「ごめん、でも自分でなんとかしてみせるから」とつぶやき、心配をかけてしまったことを2人に謝罪した。
(P49より引用)
いじめがエスカレーターした結果、イシカワは円形脱毛症を発症してしまう。さすがに担任の教師も異変に気付き、三者面談が設定されるが、イシカワは頑なに「いじめられている」ことを認めない。
先生が「やめなさい」と言ってなくなるならば苦労しないし、「気を遣われる」空気になるのも本人は本望ではなかったのだろう。
固い意志で闘いつづけたイシカワの姿に感動した。
ただし、身体がSOSを出しているので、これ以上無理をすることは無いと思う。大事に至る前に、大人に相談するのも選択肢であることは、忘れないでほしい。
印象に残った点②:文劇祭でのコント
「どんな人間でもイベント中というのは輪の中に入るチャンスがある」(P75より引用)
いじめを打破すべく、イシカワは文劇祭(全クラスが劇をやって賞を争う学校行事)をチャンス・突破口と考える。
お笑いが大好きなイシカワは、オリジナルのコント劇を提案することにした。
所謂”スクールカースト”が低いイシカワは、自分の案は簡単には採用されないと予想し、ホームルームでのプレゼンに、これでもかというほど準備を積む。
そして、実際にプレゼンの日。プレゼン練習の甲斐あって、いじめっ子の反対意見をクラスの雰囲気で押し切ることに成功する。
とにかくやれることを徹底してやり、決してめげずに、逆境を跳ね返す姿は、普段サラリーマンとして働く私も見習わなければならないと感じた。
また、プレゼン以降も数々の苦難に襲われるイシカワだが、とにかく先回りして準備を進めて、苦難を乗り越えていく。この部分からは、お笑い芸人せいやの、コントに対する姿勢も垣間見ることができた。
まとめ
この本は漢字にはフリガナが振ってある。つまり、小学生から読めるようになっている。
しかし、ぜひ大人にこそこの本は読んでほしい。
大半の大人は、この本で書かれる程のハードないじめではないにせよ、いじめのようなものは、目撃したことがあるはずである。
しかし、人間の記憶は都合のいいもので、大人になると徐々に忘れていく(特に加害者・傍観者は)。
なぜいじめが起こってしまうのか、そして、どのようにしたらいじめは終わりを迎えるのか。
答えの無い問いだが、そのヒントがこの本にはある。